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この記事について
この記事は、前薗さんが発明者のとあるシステム関係っぽい特許を見つけたので、紹介をしている内容です。
前薗さんとは、新生エオルゼア頃のシナリオを担当されており、14時間放送とか、ドマ式麻雀大会でも色の濃いキャラで活躍されている男性ですね。
結論としては、今回の特許は、ほぼ確定でとあるシステム関係に関して出願されている特許の気がします。
特許請求の範囲
ちなみに、今回取り扱う特許の公開番号は、特開2014-151054というものです。
かなり重要な特許なのか、特開2016-26682を始めとして、何度も何度も何度も関連する特許が出願されていますね。
マトモな会社なら特許出願について報奨金が付きますので、おそらく前廣さんは、大儲けだったんじゃないでしょうか。
現物を見たい方は、INPITの下記のサイト等で、上の特許の公開番号等から検索すると表示されます。
・j-platpat.
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
まずは、前回同様特許請求の範囲から見ていきます。
今回は、割ととある環境でプレイされている方なら、一発で分かる感じがします。
(以下フォントの異なる個所は、引用内容です)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤの操作に応じてビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム装置であって、
操作入力部に配置されている複数の操作部と、各操作部の機能を示す操作機能とが対応付けされた操作機能対応情報を記憶する操作機能対応情報記憶手段と、
前記操作入力部に配置された複数の操作部それぞれに対応する複数の操作部画像であって、対応する各操作部に対応付けされている操作機能を識別可能な識別表示がそれぞれなされている一群の操作部画像を各操作部の配置位置に対応した配置で画像表示装置の表示画面における操作部画像表示領域に表示する操作部画像表示手段と、
プレイヤによる各操作部の操作に応じた操作入力を受け付ける操作入力受付手段と、
該操作入力受付手段により受け付けられた操作入力に応じて、プレイヤにより操作された操作部に対応付けされている操作機能を発揮させるための処理を示す操作対応処理を実行する操作対応処理手段とを含む
ことを特徴とするビデオゲーム装置。
相変わらず分かりづらいですが、どうして分かりづらく書いてあるのかについては、ちゃんと理由があります。
前回書いた気がするのですが、特許請求の範囲とは、その特許自体の特許権の効力を表す重要な記載です。
つまり、例えば常識だからと言って表現を省くと、その範囲は、権利から外れてしまいます。
一方であいまいに書きすぎた場合は、不明確になってしまうので、国から権利として認めてもらえなかったりするようです。
超ざっくり読むと、プレイヤーの操作手段に関する特許のようですね。
まあ、ビデオゲーム装置ってなんだよ、みたいな感じはしますが。
発明が解決しようとする課題
次は、発明が解決しようとする課題を見てみます。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のビデオゲームでは、コントローラに配置されている複数のボタンそれぞれの機能をプレイヤが記憶しておく必要があるため、特に初心者においては正確に操作することが難しく、ビデオゲームを円滑にプレイすることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、ビデオゲームにおけるプレイヤの操作を容易かつ円滑に行うことができるようにすることを目的とする。
今回は、結構分かりやすい内容ですね。
勘の良い方なら、分かりそうな気がします。
ちょっと具体的に説明しますと、通常ゲームでは、ゲームを操作するためにキーボードやパットで入力をしてプレイをします。
ここまでは当たり前ですね。
例えば、ニーアオートマタの2Bちゃんは、□ボタンを押下すると隙の少ない弱攻撃を行い、 △ボタンを押下すると攻撃力の大きい強攻撃を行い、その他のジャンプやポッド攻撃等にも別のボタンが割り当てられています。
しかし、このどのボタンがどのアクションに割り当てられているかは、プレイヤー自身が覚えるしかなく、ちょっと大変という課題があるわけです。
しかも、ニーアオートマタみたいなスピードの速いゲームでは、ボタンの押し間違えがそのままゲームオーバーにつながるため、正確な操作ができることは非常に重要です。
この辺でドラクエとかでは、必須のコマンドが、画面に表示された日本語を選択する形になっており、基本的に〇ボタンである決定ボタンと、×ボタンであるキャンセルボタンと、移動ボタンである方向キーだけでクリアできるような形で解決しているように思います。
発明の効果
次は、発明の効果についてみてみます。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ビデオゲームにおけるプレイヤの操作を容易かつ円滑に行うことができるようになる。
操作を容易かつ円滑にとか、かなり大きく出ている気もしますが、脳量子波とか、SAOのナーヴギアみたいなやつの話が始まるのか、ここだけだと結構ワクワクする感じです。
発明を実施するための形態
次は、発明を実施するための形態についてです。
前回同様に関係する図面と合わせてみていきます。
ここからは、結構具体的な話がでてきますね、
図1
【0 0 1 5 】
図1 は、本発明の一実施の形態におけるビデオゲーム装置1 0 0 の構成の例を示すブロック図である。図1 に示すように、本例のビデオゲーム装置1 0 0 は、ビデオゲーム装置本体1 0 と、表示装置5 0 と、サウンド出力装置6 0 とを含む。ビデオゲーム装置本体10 は、例えば市販のビデオゲーム機によって構成される。また、表示装置5 0 は、例えばテレビジョン装置や液晶表示装置などによって構成され、画像表示部5 1 を有している。
発明を実施するための形態では、その発明がどうやったら実施できるのかを説明していきます。
図1には、PS3タイプのパットが記載されていますね。
例えばPS3のパットを使った発明でも、パットだけでは動かないので、まずはパットがどんなふうに動いているのかの説明から始まります。
つまり、前述のビデオゲーム機の一例としては、限定されているものではありませんが、PS3が想定されている可能性が高いです。
ちなみに、なぜPS3の絵になっているかというと、おそらくFF14は、かつて、PS3版でもサービスされていた都合かと思います。
このPS3版は、アイテムを取得するたびにロードが入るとか、敵のAOEがラグラグで、AOEの出現を予測しながらじゃないと戦えないとかいうレベルの非常のかなりきついものでした・・・。
また、PS4のパットであれば、おそらく手前面に、印象的なタッチパネルがあると思われます。
図5
【0040】
図5に示す例では、第1の操作部画像群GG1と第2の操作部画像群GG2が表示されている。第1の操作部画像群GG1は、上方キー31aに対応する操作部画像G1、下方キー31bに対応する操作部画像G3、右方キー31cに対応する操作部画像G4、左方キー31dに対応する操作部画像G2、○ボタン32aに対応する操作部画像G8、×ボタン32bに対応する操作部画像G7、△ボタン32cに対応する操作部画像G5、および□ボタン32dに対応する操作部画像G6により構成される。また、第2の操作部画像群GG2は、上方キー31aに対応する操作部画像G9、下方キー31bに対応する操作部画像G11、右方キー31cに対応する操作部画像G12、左方キー31dに対応する操作部画像G10、○ボタン32aに対応する操作部画像G16、×ボタン32bに対応する操作部画像G15、△ボタン32cに対応する操作部画像G13、および□ボタン32dに対応する操作部画像G14により構成される。
はい、図5では、どっかで見たような絵が出てきましたね。
特許文献の場合は、その特許がどんなものであるのか分かればよいので、添付される図は、厳密に実物の図ではない場合もあります。
第1の操作部画像群GG1と第2の操作部画像群GG2とは、パットプレイ時に表示されるクロスホットバーなのではないでしょうか。
その証拠に、さらに読み進めてみると、下記のような記載があります。
【0 0 4 3 】
次に、ビデオゲーム装置1 0 0 は、プレイヤX による操作機能の設定切替操作を受け付
けたか否か確認する( ステップS 1 0 5 ) 。操作機能の設定切替操作は、本例では、キー
パッド3 0 に配置されているL 1 ボタン3 3 とR 1 ボタン3 6 の操作により行われるものとする。具体的には、L 1 ボタン3 3 によりゲーム画面において左側に表示されている操
作部画像群G G 1 が示す操作機能に切り替えられ、R 1 ボタン3 6 によりゲーム画面にお
いて右側に表示されている操作部画像群G G 2 が示す操作機能に切り替えられるものとする。
実際のFF14でも、L1ボタンを押すと、左側のクロスホットバ―がアクティブになり、この状態で〇ボタン等を押すと、セットされたアクションが実行されます。
R1ボタンについてもしかりです。
このように、クロスホットバーは、画面上に表示されたホットバー登録されているアクションのアイコンを見ることで、パットのどのボタンを押せばよいのか位置的に把握することができる非常に画期的な特許と言うことになります。
日常プレイしているヒカセンとかだと、ちょっと当たり前になっていますね。
図9
ついでに見つけてしまって面白かったのが、こちらの図9です。
ちょっと分からない方もいるかもですが、これってダブルクロスホットバーの絵ですよね。
ダブルクロスホットバーの実装は、パッチ3.4なので2016年9月です。
一方で、この特許の出願日は2013年2月なので、ダブルクロスホットバーについては、構想自体が随分前からあった可能性があります。
本当にFF14関係の特許なのか
ここで、一応本当にFF14関係の特許なのかを検証してみることにします。
実はスクエアエニックスは、普通のFF関係の特許と、ドラクエ10関係の特許とを混在して出願していて、非常に紛らわしいためです。
今回検証に使用した要素は2つです。
1つ目は、冒頭でも説明したように、発明者の存在ですね。共同発明者は、同じくFF14開発者の皆川さんです。この点では、FF14関係の特許である気がします。
2つ目は、この特許の出願日です。
この特許の出願日は、前述の通り2013年2月です。
ここで重要になるのは、特許要件の新規性と言う要件になります。
新規性とは、超雑に説明すると、基本的には、出願された特許の内容が、新しいものでない場合には、特許権として認められないという特許要件の一つです。
具体的には、例えば、味噌ラーメンについて特許出願しても、特許出願前に既に味噌ラーメンを売り出していた場合は、別に新しいものではないので特許権としては認められません。
これを今回の場合に当てはめてみます。
仮にこの特許がクロスホットバーに関する特許だとすれば、その特許は、最低限FF14のサービス開始等によってクロスホットバーが普通に知られてしまう前に出願されている必要があるわけです。
この点で、FF14の新生版のサービス開始日は、2013年8月です。
つまり、FF14の新生版のサービス開始で新規性が失われてしまう前に、特許が出願されていますので、一応関係するのではないかと推測することが出来ます。
まとめ
日頃当たり前に使っているクロスホットバーですが、実は、特許として出願されている凄い技術のようでした。
ちなみに根性版と呼ばれている旧FF14は、2010年9月のサービス開始なのですが、実は旧FF14には、クロスホットバーが実装されていなかったので、こちらはセーフとなります。
こんな感じの特許が他にもあるかもしれませんね。
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